体を壊す前はダイビングのインストラクターをしていた時期もありました。
今は専ら、日本の海(主に沖縄)でシュノーケリングを楽しませていただいていますが、行くたびに悲しくなるので、この旅ブログに海の記事を載せることも少なくなっていました。
でも、悲観しているだけでは何も始まらないので、小さなアクションですが、今回この記事をアップすることにしました。
これからサンゴの海でシュノーケリングやダイビングのご予定がある方、是非一度この記事をご一読頂ければ嬉しいです。
まずは、先日、沖縄某所で撮影してきた写真をご覧下さい。
これがほぼ健全な状態。
そして、人が入ることで不健康になった珊瑚がこれ。
乗られたり、折られたりして無残な状態になっています。
もちろん、台風などで海が荒れてサンゴが折れることはあります。
ですが、それ以上に自然にダメージを与えているのが私たち人間です。
サンゴの被害というと、これまではフォトダイバーが諸悪の根源とされることが多かったですが、近年それ以上に深刻なのが観光シュノーケラーです。
観光客のほとんどはシュノーケル自体あまり経験の無い方たちばかり。
経験者であっても、ダイビングのような機材を伴わないシュノーケルは安易に考えがちです。
ダイビングであれば、同行するイントラがまともなら、環境保護の説明はしっかり行ないますが、シュノーケルではツアーにでも参加しない限り誰も教えてくれない(ツアーでもほとんどのショップが説明しない)ので、自覚の無いまま珊瑚を傷つけていることが多いということを、まず知っていただきたいのです。
(何をやったら不要なダメージを与えてしまうのか分かっていながらやっている、もしくは故意にやっているなんて確信犯は論外で。。。この記事はそういう残念な方は対象にしていません。)
おっと、冷静に冷静に・・・
最初に、掻い摘んで珊瑚のお話から。
サンゴは、海に生きる動物です。
一言で「サンゴ」といっても、深海に生きるものから浅瀬に生きるもの、色鮮やかなものや、パッと見は岩のようなものまで様々です。
私たちが見かけるものの多くは、小さな生物が同じ一つの骨格を持って集まった「群体」という状態になっているタイプのサンゴです。(サンゴ礁というと聞き慣れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。)
詳しい話は割愛しますが、これらのサンゴが1cm成長するまでには、長いもので約30年~50年というとてつもなく長い年月を必要とする種類もあります。
ですから、先ほどのすばらしいサンゴたちが今の状態になるまでには、何百年という時間が掛かっているわけです。
でも、私たちはこれを一瞬で壊してしまう破壊力を持っています。
硬そうな珊瑚ですが、実は非常に弱い生き物で、乗ったり、掴まっただけでもポッキリ折れてしまいます。
また、仮に折れずとも、サンゴはストレス(急激な温度変化や砂の堆積による酸素不足など)を感じると、自らの栄養素となる共生藻を放出してしまうため、白化といわれる現象が始まります。
これが長く続くと、サンゴは死んでしまうのです。
ですから、「折らなければいい」ということではないのです。
サンゴが死滅すれば、魚たちもそこには住まなくなります。
(その理由をお話し始めると、サンゴの生態の説明が必要になるので、この記事では省かせていただきます。)
私たちが自覚無しに行なってしまう加害として、砂場でのフィンキックがあります。
これは、ダイバー・シュノーケラー共通ですが、サンゴ付近で海底に向かってフィンを蹴り上げると、当然ですが砂が舞います。
その砂がサンゴの上に積もると、サンゴは呼吸が出来ず死んでしまいます。
シュノーケラーの場合、ライフジャケットなどで浮力確保をしないまま泳ぎ続けた結果、疲れて立ち泳ぎしたり、同行者と話したりするために立ち泳ぎする場合に多く見られます。
ダイバーの場合は、浮力調整が上手く出来ずに自覚無く沈んでいって海底で蹴り上げてしまったり、水中撮影のためにオーバーウェイトで潜水し、立ち姿勢になってしまい海底をフィンキックしてしまうなどというケースです。
念のため付け加えますが、フィンではなくマリンシューズや素足でも同じです。
自分自身が注意するのはもちろんですが、もし見かけたらそっと声をかけてあげるのも防止策の一つ。常識のある方なら、声を掛けられてムッとするような人はいないはずです。
私は、ムッとされたら最初から話をするようにしています。砂を巻き上げてはいけない理由を知らないなら、まず知ってもらうところから始めます。そうすると、99%の皆さんは分かってくださいます。
それを皆さんにやって欲しいとは思いません。
ですが、知識として知った上で海に入っていただいたいと願っています。
温暖化による急激な海水温の上昇なども生態系を崩すきっかけになり、ひいては珊瑚の減少に繋がるなど、他にも様々な原因で綺麗な海が失われつつあります。
温暖化防止は今日に明日にと短い期間で解決されるものではありませんし、地球規模での努力が必要です。
ですが、珊瑚に乗らない・折らない程度なら、誰でも簡単に出来ますよね?
最期に簡単にまとめます。
サンゴの海でシュノーケリングをする際は、
- 珊瑚に乗らない・折らない・砂を巻き上げない
- 生物をむやみに移動しない・触らない
- 餌付けをしない
- ゴミは持ち帰るか所定の収拾場所へ捨てる
- 干潮時に泳がない
- ビーチの看板に書かれた制限事項は遵守する
小さなことでもみんながやれば大きな力です。
意識しなければ、私たちの1回の不注意で明日からそのサンゴがなくなるのですから。
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